tel

気付きの言葉COLUMM

我々の使命 (事業) は何か

 大塚家具の迷走が止まらない。父親との闘争に勝って支配権は獲得したものの、その後の明確な事業戦略が打ち立てられず、売上が減少して赤字転落し、M&Aによる会社の引き取り先を探すも、社長抜きでないと買わないと言われてしまっている。そもそもどこで路線を間違えたのであろうか。闘争の中で、父親の築いた高級家具路線や会員制のコンサルティングセールス路線をあまりにも否定をしたために、事業戦略を大きく変えるであろうというイメージが先行して、それを打ち消すだけのメッセージが明確に出せていないということかもしれない。

 

 私もこうなる前の大塚家具でベッドの予約をし、その時は1万円だけ支払い、事情があって長い間行かずに、娘さんが社長になってからの大塚家具で再度申し込みに行ったら、新社長就任キャンペーン?で2割ほど値引きをして貰えたことがある。最初に行ったときの店員が本当に親切で誠実な感じの人で、10種類位のベッドの硬さ等を確かめながら説明を受けたので、値引きの話は出なかったものの、それで良いと思って納得をして注文をした。

 

 ベッドのように一生に一度の買い物は、値引きの多寡よりも、いかに睡眠が快適になれるか、その店や店員に納得できるか、好きになれるかが大きな要素ではないか。値引きをしない体質を堅持すべきではなかったろうか。

 

 イケアやニトリがどれだけ売上を伸ばしていようとも、そこの顧客とその購買目的とは明確に異なる。迷わずに高級家具路線を貫きながら、さらに父親とは違う打つ手があったのではなかろうか。たとえば快眠保証等だ。

 

 有名な、ドラッカー5つの質問では、まず我々の使命(事業)は何か?我々の顧客は誰か?顧客にとっての価値は何か?この3つがトライアングルのようにぐるぐる回って互いに連係をするものでなければならない。そしてそれが決まれば、成果は何か?計画は何かに続く。非常に難しい質問であるが、これに答えることによって、顧客が絞れる。そうすると顧客にとっての価値を上げることに専念できる。

 

 対極的なのはUSJである。潰れかかっていたUSJをV字回復させたのは、この使命の転換である。以前の「映画ファンだけのパーク」という狭いこだわりから、「世界最高のエンターテーメントを集めたセレクトショップ」に変えたことで、客層が大幅に広がった。ディズニーと差別化することにこだわった映画のテーマパーク では狭い関西の商圏をさらに狭くしてしまう。どう戦うかの前に、どこで戦うかが非常に重要である。さらに面白いのは、1月、2月の閑散期にどう集客するかを考えて、この寒い時期にも動きそうな消費者がいないかを考えた。寒いと外出しづらい小さな子供連れのファミリー層ではなく、スキーやスノーボードをするためならもっと寒い雪山にでも行く若者層に着眼した。そこで日本が誇るブランドである、「エヴァンゲリオン」「進撃の巨人」等のイベントを開催した。そしてついにUSJに年間を通じての閑散期が無くなった。詳しくは「USJを劇的に変えたたった1つの考え方」(角川書店発行、森岡毅著)を参考にして欲しい。この本はすごく経営の参考になる。一人の優秀なマーケターが入るとこうも変わるのかということが分かる 。

 

 著者の森岡氏が以前勤めていた会社はP&Gで、そこで社内マーケターの教育係をしていたそうだが、本の中には出てこないがP&Gは元々ドラッカーの教えを受けていた会社である。

 

 やはり経営にはセオリーがあって、それを知っているかどうかで、打つ手が大きく変わる。

 

 経営者は、経営の勉強をし続けることが大事だと、最近つくづく感じる

 

税理士・中小企業診断士 安部 春之