《日 時》 平成20年4月23日(水)
《講 師》 安部税理士事務所  税理士 安田 佳津子
《テーマ》

−これだけは知っておきたい−

新たなリース税制と減価償却制度

  新たなリース税制

平成20年4月1日以後に締結される契約に係る所有権移転外ファイナンス・リース取引については、「売買取引に準じた会計処理」を原則的な処理とすることになりました。以下が、リース取引のメリット・デメリット及び改正による影響です。

  メリット

〔資金調達面で有利〕
・有利な条件での融資を受けられない資金力の弱い中小企業にはメリットが大きい。
・多額の資金が一時に流出せず、銀行の借入枠を温存できる。
・貸借対照表上でオフバランスにでき、自己資本比率等で有利になる。
 →改正で、原則としてオフバランスにできなくなりました。

〔早期償却可〕
・通常リース期間は法定耐用年数より短く設定する。経済的陳腐化に対応できる。

〔事務簡素化〕
・固定資産台帳への記載がなく、償却資産税の申告等が不要になり事務の省力化が
 できる。
  →
改正で売買取引とみなされ、固定資産台帳に記載する必要がでてきました。
   例外的にオフバランスにしても、税抜方式では消費税分のみ当初に未払金
   計上するため消費税の未払金管理が大変になりました。

・リース料は定額のため部門採算等のコスト管理が容易である。

〔割安〕
・リース料の中に含まれる金利相当額・保険料相当額は、中小企業よりリース会社の
 方が一般に割安になることが多い。
・リース料は将来に亘って固定なので、金利の上昇局面で有利である。

〔その他〕
・借入返済は1度の遅れが今後の借入に差し支える。リース料は1回位引き落としが遅
 れてもそれ程問題がないことが多い。


 

  デメリット

〔割高〕
・借入金利とリース料に含まれる金利が同程度であれば、リース会社のマージン分だ
 けリース料の方が割高になる。

〔中途解約不可〕
・実質的に中途解約できない。新機器への切替え、途中で売却して現金化できない。

〔安心〕
・基幹的設備は自己所有の方が安心である。

〔税制面〕
・特別償却できない(所有権移転リースを除く)。  
  →
改正で減価償却資産になった際に注意が必要です。
・気をつけないとリース契約時の一括消費税課税仕入れを忘れてしまう。
 
  →
新たに生じた大きなリスクです。会社と会計事務所の連絡が重要になります。

〔その他〕
・減価償却は法人の任意のため利益調整できるが、リース料ではその調整ができない
 ので赤字決算時に困る。
  →
改正で売買取引とみなされるため減価償却費の調整としてできるようになりま
   した。


 新たな減価償却制度

平成20年4月1日以後開始する事業年度より機械装置の耐用年数が390区分から55区分に大きく変わりました。日本標準産業分類を見て、どの区分に属するかを判断することになります。  


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