《日 時》 平成20年11月26日(水)
《講 師》 カタリスト研究所  所長 近藤 三城 氏
《テーマ》

−部下をイキイキ動かす−

管理者のコミュニケーション術Q&A

1.経営指針の重要性

(1) 部下指導の原点は経営指針にあり
 企業は、自社のあるべき姿(目標)と現状とのギャップ(問題)を解決するために経営資源である『人・物・金』を投入する。問題解決のために社員を採用するのであり、社員の存在意義は問題解決以外にない。しかし、自社の問題を認識している社員は実に少ない。つまり、社長の熱い思い、経営理念が社員に通じていないのである。社員は経営指針を理解する必要がある。実態把握のためにも、経営指針の理解度を自己チェックしてみよう。

(2) 経営指針の共有化と部下指導基準
 国語辞典(三省堂)には、『組織とは一定の役割をもつ秩序ある全体』と定義されている。 企業は、経営指針がないとバラバラになってしまう。人間は人類として生まれ、人間に育てられ、社会で学んで人間になる。個性も育てられ方も様々だ。よって、入社してくる部下もそれぞれ異なる価値観をもっている。自社にふさわしい、望ましい社員に育てるためにも、共通の経営指針を示し、その上で個性を発揮できるようにすればよい。
 管理者は、経営指針を自ら理解することが部下指導の第一歩となる。経営指針の理解なくして部下の指導は果たせない。管理者の能力格差は、経営指針の理解力格差が源にある。



2.部下の指導育成

(1) 上司(話し手)の発案権と部下(聞き手)の決定権
 聞き手は、あきやすく、内的・外的条件の影響を受け、親近感を持ちやすいという心理的特性を持つ。部下(聞き手)の決定権を左右する要因には、@話の内容、A表現力(わかりやすさ)、B上司との好ましい人間関係が挙げられる。
 下記のような上司には、部下が動かない傾向にある。
・言うだけで率先垂範しない上司には協力しない
・尊敬できない上司、嫌いな上司の言うことは聞かない
・コミュニケーションが不足する上司と打ち解けない
・自分のことしか考えない上司を認めない
・繰り返し、復唱、チェックがおろそかな上司を甘くみる

(2) 仕事は命令で始まり、報告で終わる
 上司は、部下を望ましい人材に育てるためにも仕事の意義、期待する評価基準、達成方法、報告方法と時期について指示・命令する。評価基準を細かく決めれば、基準に従い、ほめたり、叱ったりと評価することができる。

(3) 部下の情報が飛躍的に増える方法
 T)『KKD法=感度アップ法』
 「K」=関心
 「K」=観察(よく知る)
 「D」=洞察(見極める)
自分に関心があり、相手に関心が向かないのが人間の本質である。意識的に部下に関心を向ける仕組みを作る必要がある。

 U)『5Q法=多面思考』
@方針質問(あるべき状態・方向に関する質問) A現状質問(今の状態に関する質問)B問題質問(あるべき状態と現状との差に関する質問) C課題質問(問題を解決するための行動課題に関する質問) D理念質問(部下の人生観・哲学に関する質問)
部下に答えさせることが大事である。

(4) 部下のほめ方・叱り方
 部下の自信を深め、長所を伸ばすほめ方、また、部下の意欲を高める叱り方は共通して以下のことに注意する。ほめる・叱る目的や基準をはっきりさせ、場所・言葉を選ぶということである。
 部下を伸ばすためにも、できれば部下と基準を共有し、目的に応じて基準を上げたり、下げたりしてみると有効である。

3.部下とのコミュニケーション

 コミュニケーションには、二つの目的がある。第一に、良好な人間関係を作るためであり、挨拶・日常会話を行うことで、部下をワクワクさせて協力者にさせる。そして、第二に、経営理念を循環させるためにある。業務上、必要なことである。部下は、自分に関心を示してくれる上司が大好きなのである。
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