《日 時》 平成21年6月26日(金)
《講 師》 神戸大学外国人特別研究員 レ ヴィエト チュン 氏
《テーマ》

−いま発展がめざましい−

ベトナム経済の現状と展望

 ベトナム経済の歴史と現状

 1800年代、ベトナムはフランスの侵略を受けた。第二次世界大戦の終わりに、ベトナムではフランスに対抗する革命が起こり、民主共和政府を宣言、1954年にはDien Bien Phuでフランスを破り、北ベトナムからフランスを撤退させた。その後ベトナムは南北に分断される。
 南北統一前(1945−1975)のベトナムは、北は民主共和政府によって社会主義の計画経済モデルが行われ、一方、南では共和政府により資本主義の経済モデルが採られていた。
 1975年アメリカが戦争に敗れ、南北が統一された。北ベトナムの社会主義が全土にわたり、政府が経済全体を独占した。政府による長期間の計画経済により、経済危機が発生した。1986年には、700%以上もの超インフレが起こり、食料・消費財だけでなく、いかなる分野においても不足状態が起こった。また、1978年にはカンボジアに侵略したとの理由で、国際コミュニティーからの援助資金がカットされ、通商も停止、困難を極めた。そこで1986年に"Doi Moi"改革が起こった。
 "Doi Moi"改革により1989年から全ての商品に市場が出現し、経営活動、貿易活動ともに盛んになってきた。改革前では、国際貿易の相手国は旧社会主義国であったが、改革後はアジアの国が輸出市場の中心となった。
 国際貿易はますます拡大し、総額が1995年から2005年の10年間で5倍以上のおよそ690億ドルの規模になり、輸出入両面における主要相手国も、アメリカに加え、中国、日本、シンガポールといった近隣諸国となった。経済発展と工業化の進展に伴い、工業部品・原材料の輸入が拡大している。





 ベトナム経済の展望

 ベトナムは、現在約8,600万人超の人口で、今後20年は毎年約100万人のペースで増加し続ける。現在、6割以上が30歳以下であるため、長期的に安定供給可能な労働力が期待される。また、ベトナムの労働力は、中国と比較すると安価で、労働者も定着率が高く勤勉であるといわれている。ベトナムの識字率は、他のアジア諸国と比べても非常に高い。外資系企業にとっては、労働力としての潜在性が高いといえる。
 しかし、ビジネスリスクもある。労働の質、技術レベル・管理経験が低いため、労働者の確保が、実務レベルではもっとも悩ましい。その他にも、不十分な法制度の整備・法制度の唐突な変更、官僚主義の弊害・汚職の蔓延・煩雑な行政手続き、そして、模造品、違法コピーといった知的財産権の侵害問題もある。
 経済改革の結果によって、GDPが連続的に上昇し、外国からの投資資本も上がった。 政治的にも安定しており、人々の生活レベルも非常に改善され、消費市場になっている。また、国際貿易の輸出入やインフラ整備も非常に拡大している。
 ベトナムは、労働資源が安く、資源が豊富で、地理的にもいい位置にあるという潜在的に大きな市場をもっている。ベトナム経済にはビジネスチャンスが潜んでいる。





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