《日 時》 平成21年9月24日(木)
《講 師》 株式会社 サナシオ 
代表 医学博士 日笠 豊 氏
《テーマ》

−この秋、大流行が予想される−

新型インフルエンザ対策

1.新型インフルエンザの発生

 2009年4月24日、メキシコ、コルドバ保健相がメキシコでの豚インフルエンザの集団発生を発表、同時にアメリカでも感染者の存在が発表された。その2日後、メキシコ、アメリカでの感染者増加が発表され、世界中に広がっている事が判明した。4月30日、日本では厳重な水際対策が取られたが、感染者の存在が発表され、その後、確認例が相次いだ。5月16日、神戸、大阪と相次いで国内での集団発生が確認されることとなった。
 今までにも、スペイン風邪(1918〜1920年)、アジア風邪(1957年)、香港風邪(1968年)といったインフルエンザが大流行してきた。
 では、今回の新型インフルエンザとはどういったものなのだろうか。



2.新型インフルエンザの特徴

 日本では風邪の中にインフルエンザを含めるが、いわゆる風邪とインフルエンザは全く違う病気である。風邪が原因で死亡することはほとんどないが、通常のインフルエンザでも感染すると死亡率は高く、0.05〜0.1%程ある。通常のインフルエンザであっても、日本では1,000万人が感染し、超死亡(インフルエンザに基づく肺炎や、現疾患の悪化などで死亡)を含めると数千人から数万人が死亡している。
 今回の新型インフルエンザは、死亡率が0.5%とアジア風邪、香港風邪と同程度あり、季節風インフルエンザより感染力はあるが、大半が軽症である。高温多湿に強い特性があり、若年者が感染し易い。




3新型インフルエンザの対策

 発生当初、国の対応は高毒性の新型インフルエンザに対するものであり、今回の豚由来の新型インフルエンザを想定したものではなかった。
 インフルエンザの対策としては、@感染予防、A隔離、Bワクチン、そしてC内服治療が挙げられる。
@感染予防
・手洗い:一般的に最も有効とされている。手指から感染することが多いといわれるので、こまめに手洗いをする癖をつける。
・マスク:飛沫感染予防には有効。感染者にマスクをしてもらい、感染者の世話をするときにはマスクをつける。空気感染ではないので普段にマスクをしていても予防にはならない。
・うがい:科学的根拠に乏しいとされている。
A隔離
インフルエンザが発生すれば、隔離して封じ込める。初期の対策としては最も有効である。ただ、インフルエンザは、発病の1日前からウイルスを排出するため、発病前には分からず、監視や隔離が難しい。
Bワクチン
新型インフルエンザに合致したワクチンを接種する。ワクチン接種後、免疫ができるまでに3〜4週間かかる。
C内服治療
リレンザの使用やタミフル(ノイラミダーゼ阻害薬)を内服する。新型ウイルスでも有効と考えられている。




4.まとめ

 新型インフルエンザについては、大流行の可能性は高いが、それほど大きな被害は出ない可能性が高い。学校や企業としては、不要不急の集会や会議を避け、手洗い・マスクなどの感染予防に努める。感染者については解熱して3日を経過してからの出務、出席を許可する。濃厚接触者については、検温実施と症状の有無を確認させるといった対応が必要だ。恐怖や不安にとらわれた人間はコントロールされ易い事が知られている。各人が冷静に理性的に判断して対応する必要がある。



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