《日 時》 平成21年12月16日(水)
《講 師》 税理士 安部春之  税理士 塚本晶子
《テーマ》

−民主党政権で税制はどう変わる−

民主党マニフェストと税制改正予想

1.はじめに

 2009年8月、政権が交代し、民主党政権が発足した。今回は、中小企業を経営する立場として、今後行われる税制改正をいかに受け入れ、対応していくかについて重点的に考えていった。



2.民主党の5つの約束

1. ムダづかい
国の総予算207兆円を全面組み替え。税金のムダづかいと天下りを根絶する。議員の世襲と企業団体献金は禁止し、衆院定数を80削減する。
2. 子育て・教育
中学卒業まで、1人当たり年31万2,000円の「子ども手当」を支給する。 高校は実質無償化し、大学は奨学金を大幅に拡充する。
3. 年金・医療
「年金通帳」で消えない年金。 年金制度を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現する。 後期高齢者医療制度は廃止し、医師の数を1.5倍にする。
4. 地域主権
「地域主権」を確立し、第一歩として、地方の自主財源を大幅に増やす。 農業の戸別所得補償制度を創設。 高速道路の無料化、郵政事業の抜本見直しで地域を元気にする。
5. 雇用・経済
中小企業の法人税率を11%に引き下げる。 月額10万円の手当つき職業訓練制度により、求職者を支援する。 地域温暖化対策を強力に推進し、新産業を育てる。


 民主党は成長戦略目標に@家計の可処分所得を増やし、消費を拡大、A日本の経済を内需主導型に転換、B環境関連産業を将来の成長産業に育てる、C農林・医療・介護を成長産業として、大きな雇用を創出させる、といったことを挙げている。



3.今後の税制改正

 12月22日2010年度税制改正大綱が決定された。今年度の改正では実行されなかったが、マニフェストにより以下の事項等も次年度以降の改正項目として想定される。

・給付付き税額控除で低所得者には現金を給付する。
・ガソリン税1Lあたり25円の廃止に向けて環境税を導入する。
・配偶者控除を廃止する。
・中小企業で800万円以下の所得に対する法人税率を18%から11%に引き下げる。
・相続税の課税方式を、将来、遺産取得課税方式への改正を検討する。



4.中小企業を経営する者としての対応

・景気対策を重視した、従来の税制改革の枠組みはなくなった。
・談合等の余地は全くなくなった。少ないパイを求めて競争が激化する。本物の製品・サービスを提供しているところしか生き残れない。
・価値観の転換が必要、国の景気対策を受けずとも生き残れる企業を目指すべき。
・不況ではなく、今が普況である。以前のようにはもう戻らないという、早めの気持ちの切り替えが重要。
・大きく日本の産業の構図が塗り替えられるだろう、海外に生産移転が進む。
・人の採用は、将来大きな負担を生む、人の採用を抑え、売り上げ増大より利益確保を目指すべき。
・これだけ国債の発行が多いと、将来大きなインフレが生じるかもしれない。
・日本国内で日本企業だけを相手に仕事せず、発展しているアジア全体での視点が必要である。
・グローバルな視点での「ヘルトフエルの法則」が必要。(あべなびH21.1月号参照)




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