《日 時》 平成22年1月22日(金)
《講 師》 幸南食糧株式会社 代表取締役 川西 修 氏
《テーマ》

−激変の時代の発想法−

ちょっとの気づきで人は変われる

1.目標とは人生をデザインする道具

 川西氏は香川県の山峡の村で生まれ育ちました。18歳になり、「小さくても将来自分で何かをやってみたい。両親の生活を今より少しでも裕福に豊かになるようにしたい」との夢、目標を持って大阪に働きに出てきました。住み込みで働くことのできるお米屋さんに就職できましたが、自分の身体一つで何十キロものお米をトラックに運ぶ仕事は辛く大変で、周りのほとんどの人が辞めていきました。夢や目標をきっちりと持っていなければ逃げてしまいます。あきらめないこと、我慢するということが目標達成のために大切だと学びました。



2.最大のライバルは時代

 大阪のお米屋さんで6年8ヶ月働かせてもらい、退職後、松原市で独立しました。7坪の貸店舗です。13万8千人の街で同業他社は43件ありました。お米を買うのはスーパーではなく、専門店での時代です。開店したものの売れない日々が続きました。そしてある時気づいたのです。「お客様よりも上の立場で経営している43件の店と同じ方向の経営をしていてはいけない。」従来では、日祝日休み・午後5時以降の配達はしない・高層階への配達は1階の入り口まででした。街の人口は増えていましたが、昼間は女性も働きに出ていることが多くなり、お米を一つ買うのにも不便を感じていました。そこで、今までとは全く逆の経営を始めました。日祝日も営業、午前6時から深夜12時まで時間指定での配達、高層階でも玄関への配達。チラシを配り続け、元気と笑顔で、9年2ヵ月後には地域ナンバーワンに成長しました。
 同業他社はライバルには代わりありませんが、『最大のライバルは時代』です。お客様の考えや行動、地域や社会の環境の変化に誰よりも早く気づき、意識を変えなければなりません。



3.クレームから学んだこと

 今から25年前、売上の3割を占める大事なお客様から取引を中止したいとのお話がありました。原因は荷物を運ぶ人の仕事が乱暴すぎる、挨拶ができていないとのことでした。『商品のクレームの時代から人のクレームの時代』が到来しました。
 お客様の言っていることを形にするため、まずは社内挨拶のできる一流の集団にしようと決めました。当たり前のこと、簡単なこと、誰でもできること、これを実践することは一番難しく、できれば相当の価値があります。社内挨拶は最初のうちはうまく行きませんでしたが、次第に社員にも変化が見られ、現在では126名のスタッフが握手をして挨拶する『元気体温計挨拶』を行っています。



4.管理者になるための条件

 「お疲れ様。明日も頼むよ。」
 我が社では挨拶のうえに一言の言葉が付け加えられるようになれれば、管理者候補になれると言っています。みんな心にやる気はあるんです。人の心に火をつけられるのはデジタルではなくアナログです。やる気を落とさせないようにすることが、管理者の役割です。




5.目標を具体的に

 『美しい会社を作ろう』と目標を掲げました。そこで「1人が1日に2つのごみを拾いましょう」という『1・1・2運動』に取り組んでいます。人が行動に移せる目標にすることが必要です。会社方針や標語がスタッフの行動しやすい言葉になっているか点検し、置き換えてみてください。
 仕事には、「私の仕事」「あなたの仕事」「誰の仕事でもない仕事」の3つの仕事があります。役割のはっきりしていない「誰の仕事でもない仕事」を自分の仕事としてできる集団を作ると強い集団になります。
 厳しいときには絶対にチャンスがあります。大切なことは、会社で働くスタッフに輝く人がいること、そして、当たり前のことを当たり前にできる集団になることです。




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