《日 時》 平成22年4月27日(火)
《講 師》 三学経営科学研究所 代表 高橋 基人 氏
《テーマ》

−これからはアジアの時代−

中国ビジネス成功の秘訣

はじめに

 中国で圧倒的なエアコンシェアを誇るダイキン工業鰍ナ、高橋氏は中国市場開発戦略の先頭にたって引っ張って来られました。退職後は三学経営科学研究所を設立し、中国ビジネスの指南に鋭意尽力されています。



1.中国の現状

 中国では、電子・通信設備が大幅に伸びたこともあり2009年のGDPは、4兆9,000億ドル(2010年1月21日付、国家統計局)、増加率は2009年10‐12月期10.7%、10年1−3月期11.7%と極めて順調に増加している。また、外貨準備高は2009年6月末時点で2兆1,316億ドルと世界一である。
 中国への進出は、リターンも大きいがリスクも大きい。賃金は非常に上がっているため、人件費の安さはなく、中間層も出現している。一方で2億人もの失業者が存在し、経済格差、地域格差は大きくなり、経済構造のアンバランスが生じている。GDP8%成長をキープ(保八)しないと失業者がさらに増えていく。中国市場の変化を見続けていく必要がある。



2.中国文化の理解

 中国は206言語、56民族の複合体であり、地域によって国が違うかのように異なっている。中国では一般的に、全てのことを自分の目で見て確認、納得し、他者との違いや個性を主張する社会であり、個人主義、成果主義、家族を重要視するといった気質を持っている。そして、礼を非常に重視し、面子を重んじる文化でもある。友情を大切にし、「人間関係」を重視している。
 緊密な関係になるまでは、以心伝心を期待してはいけない。常に自分の考えをはっきりと主張し、論理的に表現する。また、相手の癖を見抜く必要がある。
 日本で行っていること、例えば朝礼、新入社員教育などを中国でも同様にきっちりと行っているところは成功している。時間をかけて相手を理解し、交遊し、辛抱することが大切だ。待つことの重要性が高い。



3.課題と注意点

 日系企業の進出は沿岸部に集中し、賃金の上昇が急激である。ここで勝ち組になるためには、キャリアパスや教育研修制度を創出し、人材を現地化することが必要だ。
 中国社会には不透明さはまだまだ残っており、「不愉快・不誠実・不公平・不合理」なことが多い。無茶な濫収費は減ったが、透明度が低い税金の徴収や商標・商号・意匠の知的財産権の損害などの紛争が起きている。
 中国へ投資をする際は、動機を明確にし、セルフコントロール、リスクコントロールすることが大切だ。また、任せきりでは独走、暴走、勝手し放題の脅威にさらされるが、現地の権限を強化することは必要だ。
市場が激化する中で即断即決出来る人物とポストが重要性を増してくる。




4.まとめ

 失敗した人から話を聞きまわり、失敗の哲学を社内で共同・共通に保有することが中国市場での成功につながる。
 文化が異なるのだから教えなければ、理解はできない。出来る人が実際にやってみてほめて育てていく。「知らない、経験がない」と「能力がない」ことを混同してはならない。
 重要なことは、@RIC、A意思決定のスピードと現地化、そして、B決して『当てにするな、焦るな、諦めるな』の3原則を忘れてはいけない。
 R = Respect(尊重する)
 I = Insist(主張する)
 C = Culture Compliance(文化に従う)



『度胸で勝ち抜く中国ビジネス』(双葉社)、『中国人にエアコンを売れ!』『「新しい中国」で成功する!』(以上 草思社)等多数の著書があります。 ご興味のある方は、是非お読みください。




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