《日 時》 平成22年10月27日(水)
《講 師》 株式会社 アベ経営 CFP 喜吉 茂之
《テーマ》

−改正になって節税効果が大幅に上昇する−

小規模企業共済と倒産防止共済

1.節税とは

 節税には、資産の含み損を表に出す方法と隠れ債務を表に出す方法がある。前者は、お金はあまり出て行かないが、一方、後者は実際にお金のかかる節税である。
 節税を考える上では、以下の三つの要件が重要となる。
@支払い時に経費になる、又は、控除できる
A受取時に課税対象とならない、又は、対応する経費がある
B支払金額≦受取金額が望ましい、できるだけ返戻率が高い

 今回、紹介する節税はお金のかかるものではあるが、上記の三つの要件を満たしている場合が多い。




2.小規模企業共済制度

 中小企業基盤整備機構が、経営者の退職金 制度として運営しており、現在約120万人の方が加入している。
 加入者の要件は、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主および会社の役員である。年齢制限はない。
 掛金月額は1,000円から上限70,000円まで500円単位で自由に選ぶことができ、掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除できる。
 共済金は、廃業時・退職時に受け取ることができ、満期はない。事由により受け取る共済金の金額は異なってくるが、税制面で優遇されている。ただし、会社等の役員の任意または任期満了による退職等や任意解約等の事由により共済金を請求する場合は、12ヶ月未満の掛金は掛け捨てとなるので注意が必要だ。(事業をやめたとき等その他一定の場合は、6ヶ月未満掛け捨て)
 平成23年1月より、加入対象者が拡大し、個人事業主の「共同経営者」で一定の要件を満たす方は、本制度に加入できるようになる。また、中小企業退職金共済(中退共)についても改正予定のため、小規模企業共済と中退共の重複加入はできないといった見直しも行われている。

※ 中退共は、月額5,000円から最大30,000円までの掛金を損金に算入できる制度。平成23年1月より家族従業員を加入対象とする改正予定。




3.倒産防止共済(経営セーフティ共済)

 こちらの制度も中小企業基盤整備機構が運営しており、現在約30万社が加入している。 加入要件は、一定の中小企業者(業種等により異なる)で、引き続き1年以上事業を行っている方である。
 掛金月額は、5,000円から上限80,000円まで5,000円単位で自由に選ぶことができる。掛金総額は320万円になるまで積み立てられ、掛金総額が掛金月額の40倍に達した後は、掛金の掛止めもできる。税法上、法人では損金、個人事業では必要経費に算入できる。
 取引先事業者が倒産して売掛金債権等が回収困難となった時以外にも、解約手当金の範囲内で「一時貸付金」の制度がある。「無担保・無保証人」「無利子」で一定の金額の貸付けを受けることができる。ただし、共済金の貸付けを受けた場合、共済金貸付額の10分の1に相当する掛金の権利は消滅する。
 掛金納付月数が12ヶ月未満の場合は、掛け捨てとなるが、12ヶ月以上掛金を納付していれば、自己都合の任意解約でも掛金総額の80%以上の解約手当金を受け取れる。40ヶ月以上では、100%だ。
 また、共済事由が拡大し、平成22年7月から取引先事業者が私的整理を行う場合も「倒産」とし、共済金の貸付けを受けられるようになる。それ以外にも平成23年10月までにいくつかの改正があり、そのうち、掛金月額の上限が80,000円から200,000円に引き上げられる予定だ。



4.おわりに

 中小企業にとって、安定経営のため、そして、いざというときの備えのために役立てていただけたらと思います。
K・T
 
 
ホーム