《日 時》 平成24年8月30日(木)
《講 師》 元 住友銀行 専務取締役 小松 健男 氏
《テーマ》


日本経済と原発問題

〜これからの日本経済に不可欠なものは何か〜

1.はじめに

 東日本大震災が発生して約1年半が経ちました。この東日本大震災を機に日本国内では原発反対運動が起こっています。
 しかし小松先生は、「今後の日本経済発展のために原発は必要なものである、原発反対運動を止めなければ、今後日本は潰れてしまう」とおっしゃられました。



2.電力が日本経済に与える影響

 電力は日本経済発展のために非常に大切なものです。日本のアルミ精錬は、過去2度のオイルショックで壊滅しました。当時日本のアルミ精錬は世界第2位の生産量を誇っており、技術的には世界のトップを走っていました。しかしオイルショックにより電力料金が3倍以上に跳ね上がったことに伴い、日本に6社あったアルミ精錬業者は全て、アルミの精錬をやめざるを得なかったのです。日本はアルミの消費量も世界第2位です。これ以来、現在まで日本はアルミについては輸入に頼らざるを得なくなってしまいました。



3.原発反対運動

 原子力発電が始まったのは、1960年のことです。人類は放射能の危険性については熟知しているため、原子力発電に対する安全性の追求は非常に熱心に行われてきました。にもかかわらず過去3件の大きな事故が起きています。しかし、事故についてよく勉強してみると、原発反対運動の論拠は崩れるのです。
 スリーマイル及び福島第一原発の事故では、非難された方はおられましたが、事故後の対策が迅速であったため、人的被害はゼロでした。チェルノブイリの事故では、30数名の死者を出しましたが、この原因は当時のソ連政府が国家機密の漏えいを恐れ事故の対策をとらず、さらに事故後修復のために現場の従業員に防護服も着せずに作業をさせたことでした。すなわち事故が大惨事となってしまったのは、ソ連政府の秘密主義と無知が原因であったのです。
 ではなぜここまで原発反対運動が大きく起こっているのでしょうか。その原因は日本人の国民性にあると考えられます。事故後、マスコミは政府公聴会に出席し、原発の必要性を訴えた東北電力社員の「一人も死人は出していません。」という発言を叩きました。また日本の新聞や政治家は反原発に一致しています。日本人の国民性は世論に影響されやすいという危険性を秘めているのです。



4.日本経済の今後

 もしこのまま原発反対運動が継続され、日本の原子力発電所政策が縮小してしまうと、20年後には失業率が20%を超えてしまうでしょう。孫子の代のことを考えると、原発を活用しなければ日本は潰れてしまうのです。2050年には世界の人口は約100億人になると言われています。これらの人が飢えず生活していくためには原子エネルギーの活用がなければとても不可能です。現在太陽光発電が注目されていますが、太陽光発電で使える電力は、事実上規模として作られた電力のわずか10分の1しかありません。原発をやめ、太陽光発電に頼っていくことにより電気代が高騰すれば、日本企業は海外に出ていかざるを得なくなってしまうでしょう。



5.企業にとって不可欠なもの

 小松先生は住友銀行にお勤めの際の経験談もたくさんお話し下さいました。そのお話の中で、印象的であった言葉をご紹介します。
@ 事業は人だ。
A 国の行く流れの先を見て何が必要かを突き止める。
B どんな難題でも一生懸命考えれば、必ず解決のための知恵が湧いてくる。
C この世の中に不可能なことはない。どんな事業であれ、何か問題が起こった時は
  執念を持ってそれを解決し、大きな収穫をあげるものである。
D 経営のヒントは日常の何気ない会話の中に隠れている。そのヒントを発見し真剣
  に考えてみることが重要である。
E 経営者には知恵と、やると決めたら貫き通すカリスマ性が必要である。



 どれも企業、そして今後の日本経済にとって不可欠なものだと思います。

Y・T
 
 
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