《日 時》 平成27年4月22日(水)
《講 師》 弁護士法人神戸シティ法律事務所
代表弁護士  井口 寛司 氏 
《テーマ》


現地最新レポート

発展めざましいミャンマーの最新事情

1.はじめに

 昨年4月にヤンゴンにデスクを設け、現地調査、法律制度の研究を行ってきて1年が経ちました。本日は、ミャンマーのビジネス環境、投資環境についておおまかにご理解いただき、ミャンマーに進出する際の検討材料にしていただきたいと思います。



2.ミャンマーにデスクを構えた理由

 昨年東京でミャンマー経済投資セミナーが行われミャンマー投資がブームとなっています。これまで法律事務所が先導してアジア、アメリカに出て調査をすることはあまりありませんでした。アセアンの国々を周ってみて我々の使命は、中小企業の進出のために法律事務所が先に出て行き、状況を報告することだと思いました。ミャンマーブームは本物なのか、中小企業が本当に出られる環境なのか、何に注意すべきかを調査報告したいという思いでミャンマーを選びました。



3.ミャンマーの歴史〜最近の動き

 1824年から1886年の間に3度にわたり起こった英緬戦争でミャンマーはイギリス領となりました。1942年、イギリスからの独立を支援するという名目で日本軍がビルマに侵攻しヤンゴンを占領、1945年に再びイギリス軍が奪回、そして1948年ついにミャンマーがイギリスから主権回復します。その後1962年から26年間続いたビルマ社会主義時代は1988年にアウンサンスーチーら学生による大規模反政府デモにより終わりを告げ、23年間の軍政時代が始まります。1989年から21年間、スーチー氏が自宅軟禁されましたがその間の総選挙でスーチー氏が議長を務めるNLDが圧勝するも軍事政権は政権移譲を拒否したため、アメリカはミャンマーへの経済制裁を開始します。2011年に軍事政権が解散し民主化の道を歩み始めますが、国会議員の1/3は軍民が占める規定があるため形だけの民主主義となっています。



4.投資の魅力と日本企業の進出
 
 投資の魅力は豊富で安価な労働力で1ヶ月の賃金はヤンゴンとホーチミンを比べて約半分です。また豊富な天然資源を持っているため、中国・アメリカと共に日本も注目しています。日本企業の進出は縫製業が最も多く、人口5100万人は消費市場としての潜在性も十分にあります。現在、日緬合弁による経済特区としてティラワ工業団地の開発が進んでいます。また、ミャンマーの日本人商工会議所に加盟している企業が2014年12月時点で200社に達し1年半で倍増しました。




5.ミャンマーの課題とリスク

 @政治リスク:135もの少数民族がいて、現在16部族が軍と内戦状態にあります。この問題を解決すること、今年11月に民主選挙を実施することがアメリカの経済制裁解除の条件とされています。この選挙にスーチー氏が出馬しNLDが勝利を収めたとしても官僚が育っていないため政権担当能力は極めて低く政治は安定するのか、今後の行方を様子見るという理由で日本企業の進出は止まっています。Aインフラの未整備B法律未整備:建築基準法・知的財産法・租税条約がなく、法律は次々と制定されていますが実態と乖離しています。

 進出する際に信頼できる現地の人を探す時は、日本大使館・商工会議所・JICA・JETRO等の正式ルートを利用することが重要です。




6.終わりに

 今後、ミャンマーの若者を中小企業が外国人技能実習生として受け入れ、人間関係を築き、進出する際には、信頼関係を持って繋いでいくことを10年くらいかけてやっていくことが重要だと考えています。
 私どもにご依頼いただく場合は率直な情報をお伝えしますし、ヤンゴンで少なからず人脈を築いておりますので、何かあればお声掛けください。
 ミャンマーの民族衣装での、楽しい講演会でした。




記事担当 松元 美咲
 
 
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