《日 時》 平成133月23日(金)
《講 師》 現野球解説者 村田 兆治
元 ロッテオリオンズ
《テーマ》 私はこうして問題を乗り越えてきた

 目的の明確化

プロ野球選手は結果がすべて、しかも一年一年が勝負ということで言い換えるなら“一事業主”であり企業経営と通じる部分も多いようです。
村田氏はその中で一番重要なのは“目的の明確化”だといわれます。苦しいときは「何のためにやるのか」「誰のためにやるのか」を常に意識してやることで「勝利に対しての意欲」がかきたてられ、同時に、その達成(たとえば年後に20勝したい)のために今自分に欠けているものは何かが具体的に見えてきたそうです。今思えば苦しかったはずの厳しい練習にも当時耐えられたのは、目的がはっきりしていたからだとおっしゃいました。

 根底からの変革

入団当初は、明け方まで飲んで3,4時間の睡眠で登板した日もあったような状態で、打たれて当然なのですが、打たれてもそんなに悔しくないような中途半端な気持ちだったそうです。
が、ある時、継続して二桁勝利を挙げ野球を長く続けていくには、根底から改革して正しい努力をしないといけないと気づかれました。初めてプロとしての意識に目覚め、生活習慣も改め地道な努力を行った結果、フォークボールという武器が体得できたそうです。


 ゼロからの出発

ところが、順調に勝ち星を重ねあと年で200勝達成とも言われていた昭和57月、試合中に突然右肘に激痛を覚え、痛みとの格闘の日々が始まりました。引退するか、あるいは成功の保証はないが手術を受けもう一度“ゼロ”からスタートするのかの選択。後者の野球を続ける道を選び、右肘の手術に人生を賭けることにされたのです。
リハビリの一年は「我慢・忍耐・辛抱・根気」のつらい日々でしたが、必ず復活できる、早くマウンドに立って先発・完投したいという“明確な思い”が支えとなって頑張ることができたのだそうです。昭和60月に一軍のマウンドに復活し、平成月には念願の200勝を達成することができたのです。

 経営者へのメッセージ

組織を充分に機能させることで売上を伸ばし利益を挙げて企業として発展させていく経営者の仕事は、選手個々の持ち味を大切にしながら「チームの優勝」という最終目標へ導く監督・コーチの役目と重なる部分も多いと思います。
まず組織の隅々まで適度な緊張感・危機感を行き渡らせることが必要で、Bクラスの常連だったダイエーが優勝できるチームに変貌したのも、選手一人一人が危機感を感じ取って、毎日の試合の中で常に全力プレイを意識できるようになったところが大きいそうです。
続いて、経営者は変革を恐れてはいけないと強調されました。従来のやり方が通用しなくなっている時代にあって、“ゼロからの出発”ということで、経営者はもう一度平社員に戻ってやり直すぐらいの気持ちを持つくらいでいいのではないかと言われていました。

K・S