《日 時》 平成14年1月23日(水)
《講 師》 株式会社 コーチ・エイ 取締役副社長 鈴木義幸 氏
《テーマ》 −部下を動かす− コーチングの基本と活用法

コーチングとは

コーチングとは、質問に答えていくことから自分自身で答えを見つけてもらう、つまり視点を動かすサポートといえるそうです。コーチングは、@レセプター(受容器)、A引き出す(質問)、B提案、の3つのパートから成り立っています。


 レセプターとは

どんな良い情報を伝えても、聞く耳をもっていないと伝わりません。聞く耳とは普段のコミュニケーションから作り出せるものだそうです。
部下が「提案なんですけど…」と上司に伝えた時に、聞いてもらえなかったとすると、その後部下からのアウトプットは減ってしまいます。「最近残業が多くて大変です」と赤いボールを投げられた時に、「泣き言いっても仕方ない」と青いボールで答えるのではなく、「そう、大変なんだねー。」と同じ赤いボールで答えるのだそうです。つまり赤いボールを投げられたのなら赤で、そしてできれば同じ重さのボールでやりとりすると良いそうです。


 レセプターを作るために

@赤いボールには赤いボールで返し<ペーシング>、Aスピード・呼吸まで合わして、話の合間に「そうですか」「へー」などと語尾を上げて<あいづち>を打ち、B<接続詞>は(しかし、でも)ではなく、AND(そして)を使い、目的をもってコミュニケーションをとることが大切だそうです。そして最後に、D相手の存在を認める行為<アクノリッジメント(承認)>が必要だと言われます。


 なぜ今アクノリッジメントが必要か

アクノリッジメントとは、挨拶する、おしえてもらう、“ありがとう”と言う、ほめる、ほめなくても見ているままを伝えて、“見ているよ、大事にしているよ”ということをアピールすることです。
アメリカのカーネギーは「人を動かしたければ、重要感を伝える」と言ったそうですが、人を動かす方法には、こうした方がいいよという他己説得と、質問をして相手に答えていってもらう中で気づかせる自己説得があります。自己説得は、相手が自分で自分を説得するので、納得感が強く現実とのギャップが少ないと言われています。


コーチングの哲学

コーチングの基本的なスタンスは、“白馬の王子様はこない”だそうです。だから、相手に繰返し質問して、最後まで相手の口から言ってもらうのです。コーチングとは相手を認めて、大事にして、安心感を持たせる空気は作り出しますが、基本的にはどんなことに対しても、“自分のことは自分で責任を取れ”というのが哲学なのです、と最後におっしゃっていました。

M・N