《日 時》 平成14年5月29日(水)
《講 師》 弁護士 井口 寛司 先生
《テーマ》 倒産手続からみる逆説的企業管理のあり方
 −健全な自己及び取引先管理とは何か−

倒産処理はどのようになされているか
 法人が債務超過や支払不能に陥った時、裁判所から申立てを受けます。すると1ヶ月以内に破産管財人が就任して破産宣告を行うと同時に全ての作業が開始されます。
 具体的には、机・椅子等の資産を換価するといくらになるか評価したり、売掛金の回収、従業員との雇用関係解消などスムーズに手続きが進んでいきます。次に弁済手続として税金・社会保険料の弁済、弁護士報酬の支払、最後に債権者への配当が行われます。
 個人の場合、換価して弁済手続をした後免責手続へ移行します。但し税金等については免責されません。



 倒産手続をみて気付く点
 たとえ黒字でも今もし倒産しかけたとしたらどのような状態になるかイメージして下さい。健全な会社として何をしておくべきか、倒産手法はどんな手法が選択できますか。
 税金や社会保険料などの優先債権の支払いを先にとめてしまっていると、信用のある売掛金先から差押さえが入る可能性があります。
 自宅を担保に入れていないか、社長以外が連帯保証人になっていないか。家族と自宅は生活再建の原点です。


 倒産原因からみる企業の問題点
 逆説的に、健全な会社で注意していれば倒産することはないと考えられます。
 しかし、例えば会社が元請会社へのおんぶに抱っこ方式であったり、時代のニーズに対応できていない、社員管理・経理管理の不徹底など社長の責任の問題点、株式の分配による経営者地位の不安定、2代目にこだわった後継策で後継の失敗をしてしまうなどの問題点が考えられます。


 倒産は誰の為にするのだろうか
 基本は会社が生きていくことを前提に考えなければなりません。しかし生きていけない時は破産を選びます。それは社長個人・家族・従業員・顧客の為でなければなりません。
 しかしそれなら破産を選ばなくてもよい様に健全な時から生きていく術を考えて頂きたい。 時代の変化に対応し『優先順位の把握』、早い決断と日頃の『管理』で努力を続けて頂きたい。


最後に
 実際の倒産申立ての過程の中に“Xデイ”の決定があったり、宣告した際の破産管財人の動き方に興味をもちました。井口先生の豊富なご経験談、実際にあったエピソード、弁護士業務のいろいろを交えてお話頂き有意義な研究会となりました。

M・N