《日 時》 平成15年1月24日(金)
《講 師》 山王総合経営研究所 所長 清水榮一先生
《テーマ》 哲人中村天風師に学ぶ
   元気の出る“心の経営”
 はじめに
 清水先生の、中村天風師にまつわるたくさんのお話の中から印象に残った話題をご紹介したいと思います。
 
 天風式 “勝てなくても負けはしない” 思考法とは 
 ある日、天風先生がテニスに興じていた。負けると弟子が「先生負けましたね」と声をかけた。すると先生は「バカヤロー相手が勝ったんだ。次は俺が勝つ」と言って楽しそうに笑っていた。先生にはどこにも負けがない。自分が5回勝ち、相手が5回勝った。そういう発想で10回全部を楽しんでしまうのである。  泣いて生きるも一生なら、笑って生きるも一生。どちらが楽しい人生であるかと言えば、もちろん明るく笑って生きるほうである。(※1)   
   
 人間は思ったとおりに実現する
 かつて滝の修行があり、朝の3時頃にたたき起こされて真っ暗な中、ロバで1時間かけて山奥にある滝まで行ったそうです。座禅をしてゴーという音の中、滝つぼにやってくる小鳥の声が聞こえるようになるまで毎日修行を重ねたといいます。夕方の帰り道、細い橋にさしかかったところ天風先生は狭くて渡れないと思いました。どんなに計算したってロバのおなかと自分の足とで橋の幅の倍にはなってしまいます。「はじめてなので渡れない」と言いました。ところがこの山道は1本道、ここは現に今朝通ってきた道と同じ、渡れるはずだったのです。行きは暗くて見えなかった橋が、帰りは夕方、明るいせいで見えていただけだったのです。  人生にはいろんなことがあります、それが人生。しかし心ひとつの置き所、それによって人生は操縦可能なものになるのです。
 嘘でもいいから笑ってみな
 天風先生はいつも「嘘でもいいから笑ってみな」と言った。そして、笑顔を忘れないように、毎朝洗面時に鏡に向かって笑うことを勧めた。まず鏡に向かって「ワッハッハ」と大笑いする。これを5回やった後に微笑んでみる。天風先生は、「それが自分の一番美しい顔だ」と言った。この微笑みの表情を一日忘れないように心がける。これが笑顔を絶やさない秘訣である。 ビジネスの世界でも笑顔は大切だ。かつて三菱商事の本社には、洗面所に等身大の鏡を置いていた。客を訪問するときにその鏡に自分の姿を写し、いい顔をして出かけるということをしていたのである。(※2)   
 おわりに
 「不景気の顔をしていても良くはならない。不景気を受け止めチャンスだと考える柔軟な心をもち、転んでもただでは起きない信念で、立ち向かい行動するとよいのだ。」という清水先生の言葉が大変力強く、私の心に残っています。

 (※1)参考文献"もっと強くなれ、必ずそうなれる"P176〜177
 (※2)同P299〜300引用
M・N
 
 
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