《日 時》 平成18年1月30日(月)
《講 師》 元リッツ・カールトン大阪支配人 林田 正光 氏
《テーマ》

感動営業・感動サービスがファンを作り

『ロイヤルカスタマー』を創る

 1.感動サービスとは

フロリダのきれいな海岸に面したそのホテルではビーチチェアを夕方の閉店と共に片付けるのが日課でした。ある時1人の青年が「これからプロポーズをするつもりなので閉店後も1脚だけチェアを残しておいてほしい」とホテルスタッフに頼んだそうです。そのスタッフは快諾するだけでなくしばらく考えた後に、テーブルに花、シャンパンなども用意し自らもタキシードに着替えて青年と一緒に女性を迎えました。  

後日無事にプロポーズを成功させた青年から多大な感謝の言葉がつまった手紙がホテルに届いたということです。

15,000人の社員一人一人は、エンパワメント(権限委譲)されています。お客様に喜んで頂く為に、その場面場面にどういうことをしたらよいかを考えて、自分の判断で処理する力を身につけています。そのすべての社員が心からのおもてなしができる人として自分のファンを作り、さらに磨きをかけてロイヤルカスタマー(=忠誠心のあるお客様)に育てようと、クレド(信条)の下でサービスを提供しているのです。



 
 2. クレドの浸透
 

リッツ・カールトンには「クレド」というものがあり、スタッフが提供するすべてのサービスのよりどころとなっていました。クレドとは「信条」を意味し、そこにリッツ・カールトンの基本方針や価値観が記されています。スタッフはクレドに書かれてあることを基にお客様へのサービスに創意工夫を重ね、迷った時はそれを開いて仕事に取り組む原点を思い起こします。

そのクレドをどのようにして浸透させ、従業員が金太郎飴になっているのかというと、クレドは全世界共通に朝礼で唱和されます、そして定期的に各部署ごとやマネージャークラスでの勉強会や話し合いをしたり、年に一度は社長からリーダーシップやクレドの哲学について話を聞き、インターナショナルホテルとしても通用するクレドを中心とした経営にあたるようにと浸透されていきます。又新人に対しては、2日間クレドを徹底的に教育された後、2週間マンツーマン教育で基本的なことを学びリッツ・カールトンマンが育っていきます。このように人材教育には強く力を入れています。

又リッツ・カールトンには5スター社員という制度があり、3ヶ月に132部署から推薦を受けた人の中から5人クレドに限りなく近い模範社員が選ばれるというものです。選ばれた社員はバッジをつけ、さらに積極的にやる気を出しているというのが実状です。このようにして従業員満足の場も作っています。



 
 3. エンパワメント

ある日曜日、日本料理のレストランで20名の法事のお客様が来ないまま終わったことがありました。料理やスタッフは準備していましたが、その日営業の田中君は休みでした。翌日田中君は「実は木曜にキャンセルの連絡を受けていたのにそれを伝えるのを忘れていた」と言い涙を流していました。ところがゼネラルマネージャーは、日本料理店はマネージャーにエンパワメントしているという理由から田中君ではなくマネージャ-を怒ったのです。マネージャーは田中君が20名の予約を取ってきた時にありがとうと礼を言ったり感謝の気持ちを伝えたりせず、日曜は田中君が休みとわかっているのに金曜に打ち合わせなどもしていなかったのです。権限を与えた以上はあなたの責任で行動しお客様に喜んでもらってください。これがエンパワメントです。


 4. 最後に

リッツ・カールトンが勝ち組となれたのは、社長の分身が伝道師を育て末端の社員にまでクレドという共通の価値観が行き渡っているからだと言えます。

人に感動を与え人を動かす力となる人間力を持って、一番に指名される自分ブランドを作ってください。

 


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