《日 時》 平成19年4月25日(水)
《講 師》 前・日立造船株式会社 社長  重 藤 毅 直 氏
《テーマ》

−現場で見て現場で指示−

沢山の修羅場を経験して学んだこと

 1.はじめに

人前でお話しすることに関しましては、株主総会の2時間46分立ち詰めで質問攻め、抗議攻めもありましたし、何とかなるだろうと思っていたのですけれども、自分のことをお話しする、自分のしてきたこと自分の考えたことを人前でお話しするのは初めてですので、それがどんなに皆さんの役に立つのか複雑な思いでおります。ただこういった機会でありますので、私が何を考えて、何をしてきたのかということがお分かり頂けたら、それはそれなりに意味があったのかなと思いましてお話をさせて頂こうと思います。


 2. 本好き

子供時代、運動することと人前に出ることが大嫌い。家の中で本を読むということが好きといえばかっこいいですが、本当に読書好きとなりまして、当時の少年少女文学全集を読んでおりました。小学校3年生から5年生位の間ですから、軍人さんの本・戦争の本・雑誌を読んでいるとやはり船が好きになりました。また、海軍や軍艦が好きになり、大阪の大学で船が勉強できるところを選びました。


 

 3. 経験から生まれた信条

修繕船事業という特殊な仕事をやっており、会社では通常作業服で、背広さえとうとう白衣なんて一度も着たことがない生活をしてきました。船というのは人の家というべきでしょうか、完全に一つの世界です。それを修繕していくということは、全てをわからないとできず、大変誇りをもっておりました。

会社へ入って6年目に、船を担当させられたのですが、現場の人が聞きに来たらその船に関しては担当員が一番えらいので即断即決が求められ、現場主義が身に染み付きました。また、工程と決められたことを守らないといけない、チームワーク・輪が大事だということを身をもって知らされました。

4. 社長就任中のモットー

みんなに申し上げましたのが、会社は「もの」づくり、「ひと」づくり、「価値」づくりだと。大きな意味ではエンジンから何から自社で作っているのですけれども、全部が全部作っているわけじゃないのに、それが「もの」かという議論もあったのですが、とにかくお客さんに喜んでもらわないと売れないんだ、そういう意味から「もの」づくり「ひと」づくり「価値」づくりをキャッチフレーズにしてきました。

そして人任せには絶対できない。まず「オレがやる、みんなでやる、今すぐやる」これはやらなかったらどうにもならない、修繕船の鉄則でありました。これを二つ目のキャッチフレーズとしました。

そして三つ目は、どうせやらないといけない仕事だったら、「どうせやるなら楽しくやろう」私の心情を、みんなに守ってくれよと申し上げました。

これが学生から今までの生きざまから出てきた私の思いだといえるのではないかと思います

5. 経営の心構えと部下育成

修繕の仕事から学んだことは、人の話をよく聞きましょう、言うことは簡潔に言いましょうということ。また、ビジョンを示しベクトルを合わせること。準備を十分にやって連携を強化して、急がば回れ正道を歩むということでした。

また、私の思いを各職場のみんなに伝えられる人間ができればいいなと、月1回社長塾を開き将来の経営者育成に努めました。

6. おわりに

 普段では聞くことができないスケールの大きなお話もあり貴重な講演会でした。

重藤先生とマネージャーの奥様は、共通のご趣味もお持ちで、いつも仲良く事務所へいらっしゃる姿が素敵な憧れのご夫婦です。

M・N
 
 
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