《日 時》 平成19年9月27日(木)
《講 師》 大阪ウェルディング工業株式会社  取締役社長 魚谷 禮保 氏
《テーマ》

−中国へ進出した中小企業社長が語る−

中小企業の中国進出はこれからが面白い

 1.会社発展の歴史

中国に進出した当時、日本での従業員数は39名、現在創業44年で53名になりました。上海では2001年10月に第一工場を創業して以来、たった6年で140名、来年には200名を超えていく予測で、本体より大きな会社となりました。私の経営がうまいというわけではなくて、今の社会の構造がそうなっており、日本の中小企業が一歩外へ出るとどれだけ需要があるかということをご理解頂けたらと思います。
  我々は海外に進出した途端に業績が伸び出し、ここ5年の間に業績が2倍になりました。中小企業は特色ある技術をもたなければ、日本では生きていけないといわれますように、日本では特長ある製造としてクリーンルームで物を作ったり、品質管理面に力を入れた物づくりを行っています。その他はコストの安い中国で作っています。 このように物づくりのグローバル化が相当浸透していると思います。

 2. グローバル化の一例

 それではなぜ中国で急成長するのでしょうか。それは日本でやるより上海でやる方がうんと利益率が高いからです。なぜかというと、人件費が上がったといいますが、工場建設費も含めてまだ諸経費が日本の1/8です。そこでやるわけですから30%のコストダウンが簡単にできるためです。また、中国人は日本人が3ヶ月かけてやる仕事を1ヶ月でやってしまう位ハングリー精神が旺盛です。  また、上海で材料を仕入れてある程度まで加工し、日本へ送り込みますと宣伝したところ、材料調達に困っているという会社がたくさんあり、100キロ位の部品の100個単位での注文が舞い込んできております。このように素材を仕入れて日本へ送るという需要も増えてきており、1個日本で作れば100万円位の部品が60万円位でできてしまいます。これを宣伝しましたら、1億円近い注文がきております。
 日本の超大手企業が設備投資するために、日本の工場の内部で使う部品を上海で作ってくれと見積もりを依頼されたことがありました。日本の大手の工場で使われる設備の90%がコストの安い中国などで作られているのです。特殊なものだけを日本に注文し、安くでできるものは全部海外から調達するシステムが増えています。物作りを海外でやるだけでなくて、日本で使うものを隣の国へ注文して安い設備を入れて日本での生産コストを下げていくのです。こういうグローバル時代の物の作り方が完成に近づきつつあるのです。

 

 3. 中国での状況

5年前に進出した当時、上海は「いらっしゃい・いらっしゃい」でした。また中国には人がたくさんいるから気に入った人がいれば雇って、気に入らなければすぐに入れ替えなさいと言われました。上海は総じてこの5年の間に発展したため、規制が入るようになりました。我々もやりやすいとか発展しているからという理由でここにしがみついていては、仕事がこなせなくなると判断し、上海はそのまま続けながら黄河デルタへ行くことにしました。
 整備された公道、ゆったりとしたスペースに工業団地を建て、工場を誘致して計画的に進めています。家賃は1,000uで1ヶ月に10万円〜12万円です。中国の中でも需要と供給の関係から黄河デルタなら上海より家賃も安く、人件費が30%、電気代が35%安くてすむのです。
  新聞紙上ではこれからの投資は中国以外の他の国をあげていますが、私は中国はこれからだと思います。許認可等も進出企業の手をわずらわせることなくでき、最低の投資額1,000万円でよいので是非中国へ来てください。

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