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気付きの言葉COLUMM

何かあったらどうする症候群

  最近、新聞のコラムに面白い記事を見つけた。
 『元陸上選手の為末大氏が先日、SNS(交流サイト)で私たちの国は「なにかあったらどうすんだ症候群」にかかっている、と発信した。 
 それは社会に安定と秩序をもたらすが、副作用として停滞を生み、個人の可能性を抑制するという。この症候群は、未来を予測してコントロールできるものと考え、その逆算でしか物事を判断できない。だが、実際には予想しないことが必ず起きる。それをイノベーションという国もあるが、この国では「危ない」や「予想外」となる。ここから抜け出るためには、「やってみよう、やってみなけりゃわからない」を社会の合言葉にしなければ-。
 日本がこの30年間で陥った停滞の理由が説明できる。とても納得した。私なりに解釈すれば、変化を恐れ、安定と現状維持を無意識に優先する雰囲気が、社会の意思を決定しているということだろう。その結果、世界の変化に追いつけず社会の劣化が進んでいる。デジタル技術でイノベーションとか生産性の向上とか力んでも、これでは絵空事で終わるしかない。
 為末氏はそこまで指摘していないが、この症候群の中心は私自身も属する50歳以上の人たちだろう。日本には1980年代まで世界がうらやむ経済的な成功を収めた時代があった。それを守ろうとする世代の意識が、その子供や孫の代にまで浸透しつつあるとしたら事態は深刻だ。終戦後のどん底から、失うものはなにもないと果敢なチャレンジを続けてこの国を再生した先人たちの存在を思い起こしたい。』~後略~
(令和4年6月8日付、日経新聞、編集委員北川和徳氏)
 そんなことをして何かあったらどうするんだ。この言葉は私も使うことがあり、大いに反省させられた。心配事の9割は起こらないという本もあるほどに、何か起こることは殆どない。むしろ、その角まで歩いて行かないと、先が見えないことが多い。角を曲がれば、視界が全然異なってくる。心配をする前にまず行動をすることが求められている。無謀と挑戦は傍から見れば紙一重だ。予想外を恐れず、あらゆる可能性を考慮しつつ、新しいことに取り組む挑戦こそが求められているのではなかろうか。
 話が変わるが、「幸せになる四つの因子」という研究をされている、慶応義塾大学大学院教授の前野隆司氏によると、この要因を満たせば誰もが幸せになれるという四つの因子があるという。それは、第一因子「やってみよう!」因子 (自己実現と成長の因子)。第二因子「ありがとう!」因子 (繋がりと感謝の因子)。第三因子「なんとかなる!」因子 (前向きと楽観の因子)。第四因子「ありのままに!」因子 (独立と自分らしさの因子) だ。
 第一因子の「やってみよう」因子は、人生の大きな目標や日々の目標を持ち、それを実現していくための自分の強みが分かっている、また、強みを生かすために学習・成長しようとしている人は幸せである、というものだ。
 第二因子の「ありがとう!」因子は、人に感謝して、人のために何かをしたい、誰かを喜ばせたいという気持ちが強く、様々な人と交流を持っている人は幸せだ、というものだ。
 第三因子の「なんとかなる!」因子は、幸せには前向きさや楽観性が必要だということを示している。自己実現や成長、他者との繋がりを育む場合にも、「よし何とかなる!」と前向きで楽観的にチャレンジしていけることが必要だ。
 第四因子の「ありのままに!」因子は、周りの目を気にせず、自分らしく生きることが幸せに繋がるというものだ。
 そういえば、どこの世界でも何かを切り開いている方は、幸せで楽しそうな顔をしている。

 

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税理士・中小企業診断士 安部 春之