《日 時》 | 平成21年3月30日(月) |
《講 師》 | 石原社労士事務所 石原 利男 氏 |
《テーマ》 |
−今年2月から制度が大幅拡充された− 中小企業緊急雇用安定助成金について |
1.中小企業緊急雇用安定助成金 従来からの雇用調整助成金制度を見直し、中小企業緊急雇用安定助成金制度が創設されました。要件が緩和され、以前に比べ使い勝手がよくなりました。 この制度は、雇用保険に加入しているのが前提です。世界的な金融危機や景気の変動などの経済上の理由による企業収益の悪化から、生産量が減少し、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業の事業主が、その雇用する労働者を一時的に休業、教育訓練または出向をさせた場合に、その手当て、賃金等の一部を助成するものです。よって、例年繰り返される季節的変動によるものや、自己又は災害により施設又は設備が被害を受けたことによるものは、支給対象の理由とはなりません。 |
2.要件の見直し 平成21年2月6日より見直された要件については、下記のとおりです。 (1)支給要件の確認方法の緩和 事業活動の縮小とは、以下の要件を満たす必要があります。 @ 売上高又は生産量等の事業活動を示す指標の最近3ヶ月の月平均値がその直前3ヶ月又は前年同期と比較して5%以上減少していること A 前期決算等の経常利益が赤字であること。@において生産量が5%以上減少している場合は除かれます。 →これまでは生産量でみることを原則としていましたが、今後は「売上高または生産量」のどちらの指標を用いてもよくなり、また、雇用量不増要件も廃止されました。 (2)休業及び教育訓練の規模要件の廃止 暦日又は賃金締切期間における休業等を行った日の延べ日数が所定労働延べ日数の20分の1以上である必要が以前はありましたが、その要件を廃止し、休業等の日数に応じて助成することとなりました。 (3)支給限度日数の引き上げ 3年間で300日(最初の1年間で200日を限度)、連続した利用が可能となりました。 →改正前は、3年間で200日(最初の1年間で100日を限度)。制度利用後は1年間を経過するまでの期間について、再度制度を利用することができませんでした。 (4)短時間休業 短時間休業を実施する場合は、対象労働者である個人ごとに1時間以上行われる休業についても助成の対象となります。 →以前は、対象労働者全員について1時間以上、一斉に行う必要がありました。 |
3.支給対象および支給額 (1)支給対象 休業は、事業主が自ら指定した対象期間内(1年間)に行われるものであり、その手当ての支払いが労働基準法第26条の規定に違反していないもの(平均賃金の60%以上の支払い)である必要があります。また教育訓練は、就業規則等に基づいて通常行われる教育訓練ではないものが該当します。 (2)支給を受けることのできる額 休業及び教育訓練の場合は、休業手当または賃金に相当する額として厚生労働大臣の定める方法により算定した額の5分の4の支給を受けることができます。ただし、1人1日当たり雇用保険基本手当日額の最高額が限度となります。教育訓練を実施した場合は、訓練費として1人1日当たり、6,000円が加算されます。 |
4.まとめ 通常の助成金では、前後6ヶ月の期間に解雇をしていた場合、適用を受けることができませんが、中小企業緊急雇用安定助成金については適用することができます。 この助成金を利用するにあたっては、提出準備に手間と時間がかかるため、支給申請の提出期限に注意が必要です。 「社員を解雇せずに、会社の負担を減らす」 この制度を十分に利用して、この一年を乗り切りましょう。 |
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